京都朝鮮初級学校襲撃事件に対する大阪高裁判決(2014年7月)抜粋

第1審:京都地方裁判所(2013年10月8日判決、原告=京都朝鮮学園、被告=在特会および8人の個人)

第2審:大阪高等裁判所(2014年7月8日判決、控訴人=1審被告、被控訴人=1審原告)

最終審:最高裁判所(2014年12月10日判決)

 

確定判決:第7の2(無形損害について)より抜粋

 

(3) 被控訴人が本件活動により被った無形損害を金銭評価するに当たっては、被控訴人が受けた被害の内容・程度、被控訴人の社会的地位、侵害行為である本件活動の内容・態様その他の諸般の事情を勘案しなければならない。
 そこで検討すると、被控訴人は、昭和28年に認可された学校法人であり、朝鮮人教育や一般文化啓蒙事業を行うことを目的とし、本件学校等を設置・運営して在日朝鮮人の民族教育を行っていたこと、本件学校を含む朝鮮学校は、全国に約120校、生徒数は約1万2000人を数え、民族教育を軸に据えた学校教育を実施する場として社会的評価が形成されていること(甲152、153、191)、被控訴人は、本件活動により、学校法人としての存在意義、適格性等の人格的利益について社会から受ける客観的評価を低下させられたこと、本件学校の職員等の関係者が受けた心労や負担も大きかったこと、本件活動により、本件学校における教育業務を妨害され、本件学校の教育環境が損なわれただけでなく、我が国で在日朝鮮人の民族教育を行う社会環境も損なわれたことなどを指摘することができる。

〔中略〕

 被控訴人は、控訴人らの上記行為によって民族教育事業の運営に重大な支障を来しただけでなく、被控訴人は理不尽な憎悪表現にさらされたもので、その結果、業務が妨害され、社会的評価が低下させられ、人格的利益に多大の打撃を受けており、今後もその被害が拡散、再生産される可能性があるというべきである。また、事件当時、本件学校には134名の児童・園児が在籍していたが、各児童・園児には当然のことながら何らの落ち度がないにもかかわらず、その民族的出自の故だけで、控訴人らの侮辱的、卑俗的な攻撃にさらされたものであって(児童らが不在であった場合であっても、事件の状況を認識し、又は認識するであろうことは容易に推認できる。)、人種差別という不条理な行為によって被った精神的被害の程度は多大であったと認められ、被控訴人は、その在校生たちの苦痛の緩和のために多くの努力を払わなければならない。